【イベントレポート】令和6年度 第3回コミュニティイベント「スタートアップの事業戦略・事業構築」

公開日
2024/11/29

2024年11月28日、鹿児島市のコワーキングスペースHITTOBEにて、かごしまスタートアップ支援プログラム『CHEST』の第3回イベントが開催されました。今回のテーマは「事業戦略・事業構築」。鹿児島の起業家や起業志望者を対象に、実践的なノウハウや意見交換を通じて新たな視点やアイデアを提供する場となりました。

主催者からのメッセージと概要


本イベントは、有限責任監査法人トーマツが運営を担当しています。同社の地域未来創造室は全国30都市でスタートアップ支援に取り組み、鹿児島では3年前から活動を展開しています。「CHEST」プログラムは以下の2つの軸で構成されています。

● かごしまスタートアップ実証支援プログラム
仮説の検証や進捗管理を支援するプログラムで、実証機会の提供や課題解決のサポートを行います。
● かごしまアクセラレータープログラム
資金調達やメンタリング、IPOやM&Aのサポートを行うプログラムで、具体的なプロダクトを持つ企業を対象にしています。

さらに、これらを補完する形で、参加者や外部起業家との交流を目的とした月1回のコミュニティイベントも開催されています。

今回のゲスト


月原直哉氏(きざしデザイン合同会社代表CEO)
● リクルートやソフトバンクでの事業戦略・マーケティング経験を経て独立。現在は、きざしデザイン合同会社やNationalSearchFund株式会社の代表として活動。
● 熱量のある支援と、柔軟な発想でスタートアップ界隈を牽引しています。

中垣雄氏(株式会社チェンジ鹿児島代表取締役)
● 三菱UFJ銀行や証券業界でのキャリアを経て起業。IoTSaaS事業の成功を経て、2022年に株式会社チェンジ鹿児島を設立。
● 地元を拠点にした事業支援と、新たな挑戦を続けています。

パネルディスカッションの内容

  1. 事業戦略で最も重要な要素
    月原氏:「なぜその事業をやりたいのか」という原点に立ち返ることが重要。自分のVisionを語り、オーナーシップを持ち続けることで壁を乗り越えられる。
    中垣氏:「スマートにやる必要はない」と強調。手数を増やして改善を繰り返す姿勢が大切で、魂を込めたプレゼンが成功を呼ぶ。
  2. ピボット(方向転換)の判断基準
    ● 精神的な限界を認め、柔軟に方向転換を行うこと。結果が出ない方法に固執せず、適切なタイミングでやり方を変えることがスタートアップの強み。
  3. 競争優位性を築く方法
    月原氏:場所、タイミング、価格など多様な視点を持つことが重要。
    中垣氏:「逆張り」の発想を活用し、競合がいない市場で成果を出すことが鍵。
  4. 市場調査の考え方
    月原氏:正しいデータは存在しない。動きながら情報を集め、市場を自分たちで定義する視点が必要。
    中垣氏:「市場規模が大きいと見えている場合、解像度が低い証拠」と指摘。顧客目線で市場を捉えることが重要。

交流会での声

さつまいも生産農家・白澤さんの感想
枕崎市から参加したさつまいも農家の白澤さんは、「普段は同業者や異業種の方々と交流する機会がほとんどないため、非常に貴重な場だった」と話します。
特に印象に残ったのはツキヒ貝の値付けに関する議論で、「自分の事業に置き換えると、価値を高めるための視点が得られた」とコメント。また、焼酎のブランディングを行う参加者との出会いにより、「一次産業においても商品に付加価値をつける重要性を再認識した」と語りました。
さらに、「価格の決め方についての考え方や、異業種の方々との意見交換から多くのヒントを得ることができた」と満足そうに話しました。

月原氏へのインタビュー

鹿児島の起業界隈について
「鹿児島の経営者は熱量が高く、ピュアです。他を受け入れる柔軟性があるのが大きな強みだと感じます。」

やりたいことがない人へのアドバイス
「やりたいことがない場合、一度条件を取っ払って『何でもできるとしたら何をしたい?』と自問してみることが大切です。私がコーチングをしたある不登校の女の子は、最初はやりたいことがないと言っていましたが、条件を外して話すうちに『アイドルになりたい』と話してくれました。その後、ミュージカルのオーディションに合格しました。本音のパワーはすごいものです」

コミュニティイベントの意義
「こういった場に参加することで、他の方々からエンパワーメントを受けることができます。そして、自分の本音に気づき、それをエンジンに変えることができる。これが経営者としての原動力になります」

今回のイベントを振り返って

今回のイベントでは、事業戦略や市場調査に関する実践的なノウハウが共有されるとともに、参加者同士の意見交換を通じて新たな視点やアイデアが得られる場となりました。
「Visionを語ることで仲間が集まる」というメッセージの通り、こうしたイベントは新たな協力者や仲間を見つける貴重な機会です。次回以降もぜひ参加し、鹿児島のスタートアップシーンを盛り上げていきましょう!

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